セクハラを防止する義務は、派遣元?派遣先?

派遣社員が派遣先でセクシャルハラスメントを受けたという話はよく聞かれますが、事業主には社会的責任や慰謝料請求といったリスクが生じます。では、派遣労働者を雇っている派遣元事業主と、勤務先である派遣先事業主のどちらにセクハラ防止義務が課せられているのでしょうか。


職場の安全配慮義務

派遣労働者にとって、派遣元事業主とは雇用関係があり、健康診断の受診も派遣元に義務づけられている一方で、働く場所は派遣先で、けがや病気の労働災害は、主に職場環境や仕事のやり方が原因で発生しますから、安全配慮義務は、派遣元だけでなく、派遣先にもあります。


セクハラ防止義務

労働者派遣法47条の2、男女雇用機会均等法11条1項により、女性だけでなく、男性にもセクハラが適用されるようになりましたが、セクハラ防止義務については、雇用主である派遣元事業主はもちろんのこと、勤務先である派遣先事業主にも課せられています。


損害賠償責任は?

派遣労働者は、派遣先でセクハラを受けた時には、派遣先における苦情処理手続を利用して、セクハラを無くすよう要求することができます。一方、人格権を侵害したとして不法行為を行った派遣先社員だけでなく、職場管理が不十分だった場合、派遣先事業主にも不法行為や、職場環境整備義務を怠ったとして債務不履行による損害賠償を請求される可能性もあります。さらに、派遣元事業主も、派遣先でのセクハラを防止する責任がありますので、派遣労働者の訴えに対する対応が十分でなかった場合には、派遣元事業主にも賠償責任が問われることにもなります。


セクハラのトラブルについては、未然に防ぐことは言うまでもありませんが、発生してしまった場合には、まず派遣労働者がどのような問題を抱えているのかを把握することが基本になります。その上で、正確に事実確認を行い、これ以上、大きな問題に発展しないよう、双方に真摯に向き合い、職場環境を整えていくことが重要です。


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