働き方改革「生産性向上マネジメント(管理職編)」⑨

今回は、管理職向けの「生産性向上マネジメント」⑨として、「自ら長時間労働にならない工夫を。有休取得や定時退社も積極的に行う。」についてお話ししたいと思います。


ある中小企業対象の調査では、以下のような声が出ています。


○労働時間の適正化に向けた取組みを行った結果、部下の労働時間を短縮するために管理職が負担しているケースが増えている。

○他の人に仕事を頼みづらくなり全て自分で行ったり、タイムカード打刻後に業務をしたりと、サービス残業を助長するような傾向がみられる。

○本来の仕事ができなくなり自由に働けなくなった、会議や打ち合わせ等の時間が調整しづらくなった。


これは、企業が労働時間の適正化を進めようとした結果、業務がスリム化したというよりかは、社員が行えなかった業務を管理職が抱えてしまっているだけということです。このようなことでは、管理職本来の業務が行えず、組織として機能しません。


一方で、経営者からは、労働時間の短縮が売上の減少に繋がっているという声があります。これまで現場では長時間労働をすることによって数量をこなしてきたため、単なる労働時間の短縮は、売上減少に直結してしまったというのです。


以上のように、単なる労働時間の短縮では、業績の低下に繋がってしまいます。それを防ぐためには、仕事そのもののやり方の見直しや、その仕事の実施の是非についてまでも踏み込むなどして、現場レベルはもちろんのこと、組織単位で職場環境とともに業務プロセスの改善を推進しなければ、達成することはできません。

そのためには、企業の中核である管理職が、企業の働き方改革について、仕事の見直しや長時間労働への対策を、自ら率先して行う必要があります。


※関連情報

有給休暇の取得義務化

今般、労働基準法が改正され、2019年4月から全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(短時間勤務者、管理監督者を含む)に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者は労働者の意見を尊重し時季を指定して取得させ、管理簿等で管理することが義務づけられています。(年5日以上取得者は除く。)

なお、労使協定の締結により導入可能な「計画年休」や「時間単位付与」のうち「時間単位付与」は時季指定義務には含まれません。


また、有給休暇については、「休暇に関する労働条件のため、就業規則の絶対的必要事項にあたりますので、時季指定の労働者の範囲や指定方法等を定める必要があり、取得させなかったり、定めていない場合には、罰則※が適用される可能性もありますので注意が必要です。

※罰則:30万円以下の罰金や6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金


円滑な有給休暇取得のためにも、計画年休やブリッジホリデー等の活用も有効ですので、未実施の場合は、ぜひ検討されてはいかがでしょうか。時季指定に関しては、対象なるケース、ならないケースなどもありますので、ご不明な点は、ご質問いただければと思います。 → お問い合わせお問い合わせ


ちょっとしたコツ集

・部長自ら月に2回のマンスリー休暇を取得し、課長にもマンスリー休暇取得を徹底していた。

・どんなに忙しくても終業時間の目安を決めていて、その時間までにやれるだけのことをやったら、よほどの事情が無い限り業務を終了して区切りをつけていたので、長時間仕事をし続けることがなかった。

・緊急案件以外は17時以降の打合せを禁止し、自らも時間外に仕事を依頼するメールをしないこととしており、部下としてはスタンスが明確であった。


いかがでしたか?次回は、「部下をもったときの心構え~チームの生産性を高めるマネジメントの第一歩~」についてご紹介したいと思います。お楽しみに。


日常の勤怠管理から心と体の体調管理を → コンケアコンケア