70歳までの雇用・就業機会確保の法制化に向けて

公的年金の支給開始が70歳まで引き上げられる計画の中、現在の65歳から70歳までの収入確保のため、これまで、厚生労働省で幾度の意見が交わされてきました。そこで、10月25日、同省の雇用対策基本問題部会が、次の7つの項目について、来年の通常国会への改正法案の提出に向けて、企業への努力義務として求める措置の考え方が示されました。


①定年廃止

②70歳までの定年延長

③継続雇用制度の導入

④他の企業への再就職の実現

⑤個人とのフリーランス契約への資金提供

⑥個人の起業支援

⑦個人の社会貢献活動参加への資金提供


①~③については、現在の65歳までの措置を70歳まで引き上げること。④については、現在のグループ関連企業への継続雇用を、関連企業以外の企業等へ対象を拡大すること。⑤、⑥については、これらを選択した従業員に対して、企業が業務委託という形で就業させる仕組みの構築。⑦については、これを選択した従業員に対して、企業が自ら実施している社会貢献活動に参加させる仕組みの構築。


以上が同問題の対策案として、挙げられています。

ただし、⑤~⑦については、いずれも労働者ではなくなってしまいます。そのため、労働関係法令による保護が受けられなくなってしまいますので、どう対処していくかというのも検討課題として挙がっています。


昨今、政府で進められている「働き方改革」の一環で、副業・兼業が推奨されていますが、同様に個人事業主として就業する場合には、当然ながら労働関係法令による保護は受けられませんので、そういう点では、企業としても、これをビジネスチャンスとして捉え、どのように支援等していくのか、行政としても、どのようにフォローしていくのか、法制化とともに、運用にあたっても、現場で実際に行う企業や個人の意見もよく取り入れながら、これから迎える更なる少子高齢化に向けて、重要な政策として、実のある制度になってほしいと考えます。