介護休暇・看護休暇 1時間単位で取得可能に 令和3年1月から

昨年12月に労働政策審議会で要綱が認められ、令和3年1月1日から施行される予定となっている「介護休暇・看護休暇の柔軟化」ですが、どういった内容がポイントなのかを少しお話したいと思います。

  • 就業時間の「中抜け」は原則認められません

1時間単位取得のねらいは、例えば、以下のような突発的な対応を行う場合など、短時間でも柔軟に取得できるようにすることで、介護や看護による離職を防ぐことにあります。


・介護専門職との相談、子の健康診断、予防接種・・・


取得の要件としては、始業時刻から又は終業時刻までのそれぞれ連続することとされていて、就業時間の間に抜けて復帰するという「中抜け」は想定されていません。

ただし、事業主が、労働者側のニーズを踏まえて、どうしても必要な場合には取得が可能となるよう配慮する旨を指針で定めることになっています。


また、取得時間については、1時間未満の端数が生じる場合に1時間に切り上げすることや、逆に15分単位での取得を認めるなど、労働者が不利益を被ることのないよう配慮することも通達で認められる予定です。


  • 所定労働時間4時間以下の労働者の取得可能に

これまで半日単位の取得対象から除外されていた短時間労働者(所定労働時間4時間以下)に対する除外規定は削除され、1時間単位で取得できるようになります。


一方で、労使協定を締結することで、業務の性質や実施体制に照らして、1日未満単位での取得を拒むことができた困難業務については、現行の半日単位での取得が困難な事例に倣い、指針で以下のようになります。


・国際路線の客室乗務員等の業務で、所定労働時間の途中まで、又は途中から取得が困難な業務


・長時間の移動を要する遠隔地で行う業務であって、時間単位の取得が困難な業務

・交替制勤務等の業務で、その者を勤務体制に組み込むことにより業務遂行が困難な業務


なお、指針には、労使協定の締結で時間単位の取得を認めない場合でも、半日単位での取得は認めるなど、弾力的な利用は可能となるように、会社側に配慮を求める規定も盛り込まれています。


現在の少子高齢化社会において、育児や介護の問題は他人事ではありません。育児や介護は、労働者にとって、体力的にも経済的にも負担が大きく、深刻な悩みといえます。


自社の優秀な人材が、もし介護や育児の悩みを抱えて、結果、退職を選択してしまうということも十分考えられます。その前に、社員に介護休暇や看護休暇の内容をしっかりと伝えてあげることは労務担当者としての重要な役目です。そして、会社としても働きやすい職場づくりに努めることは、これからの優秀な人材確保の上で、重要なポイントになりますので、制度や規定をしっかりと確認しておきましょう。