災害時における、社会保険料納付の猶予・雇用保険制度の特例措置

このたびの新型コロナ感染症の影響により、多大な被害が発生している状況ですが、社会保険制度では、災害により、事業所の厚生年金保険料・健康保険料や、個人事業主等の国民年金保険料の納付義務者が、その財産について相当な損失を受けた日以後に納付期限が到来する保険料等につき、一定の条件に該当する保険料等の納付が困難な場合には、申請に基づき、その納期限から1年以内に限り、その保険料等の全部又は一部の納付を猶予する制度があります。


また、事業所が災害により直接災害を受け、労働者が休業又は一時離職する場合、雇用保険の基本手当を受給できる特例措置や、今回のような甚大な災害のケースでは、雇用調整助成金の特例が設けられることもあります。

今一度、ご覧いただき、ご検討されてはいかがでしょうか。


【社会保険料納付の猶予制度】

①厚生年金保険料・健康保険料等の納付猶予

事業主が災害による損失(概ね20%以上)を受けた日以降1年以内に納期限が来る保険料について、災害の止んだ日から2か月以内に申請すると、原則1年分の保険料を全額猶予されます(最大3年間猶予)。

※組合健保については、各健保組合に確認要。(同様の措置が見込まれます。)


②国民年金保険料の免除・国民健康保険料等の納付猶予

失業や事業の廃止・休止による場合、雇用保険離職票や厚労省が実施する総合支援資金貸付制度の決定通知書等、当該状況が分かる書類を添付の上で免除申請することにより。必要と認められる期間、特例的に国民年金保険料が免除されます。

※国民健康保険料・組合健保の任意継続健康保険料については、各自治体・健保組合に確認要。


【雇用保険制度の特例措置】

令和2年4月1日から6月30日までの期間(緊急対応期間)、生産指標が1か月に5%以上低下した全ての中小事業主について、雇用保険被保険者以外を含む全ての従業員を対象に、通常の1年100日(3年150日)に加えて上記対象期間を限度に、最大で助成率9/10の助成が受けられます。


今は、休業要請やテレワークと業務が通常どおりに行えない、又は全く行えない状況にある事業所も数多くあると思われますが、災害等に対処するとき、事業主・従業員ともに、心身の疲れがピークに達することがありますが、災害が収束し、通常業務に戻る日まで、Ⅴ字回復への備えは必要と考えます。