テレワークにおけるメンタルヘルス管理①

在宅勤務やモバイルワーク等の必要性が徐々にですが高まりをみせています。しかし、ご存じのとおり、制度導入や適切な運用には、労務管理をはじめ様々な課題が存在し、容易に広まらない要因ともなっています。

その要因の一つに、勤務実態把握の困難さがあります。在宅勤務などのリモートワークで導入される主な例としては、「裁量労働制」で、みなし労働時間で管理するのが比較的容易ですが、裁量労働制が導入できる職種等には、企画立案に係る業務や専門的知識を有する職種等に限られる上、仕事内容やみなし労働時間等を労使協定で締結する必要があるなど、どのような職種にでも、すぐに導入できるというものではありません。

このように、実労働時間の管理の必要がない裁量労働制は、行った業務に対して対価を支払う考え方であるため、費用対効果に無駄がなく、労使ともに業務効率性を高めるなど、メリットが大きい反面、問題点もあります。それは特に、業務を遂行するのに見合う実労働時間とかけ離れた「みなし労働時間」を取り決めてしまうことにより、深夜労働や休日労働など労働時間の際限がなくなってしまうことです。

このような勤務状況下で危惧されるのは、長時間労働による過労死やメンタルヘルスの不調が引き起こされることです。在宅勤務などのリモートワークにおいては、メンタルヘルス不調の代表的要因である人間関係や職場環境による影響は、比較的少ないと考えられますが、一方で、長時間労働によるハードワークに加えて、コミュニケーションを確保する難しさがあります。

コミュニケーション不足が生じることにより、個々のストレスや鬱などの精神的な問題を発生させ、労働生産性の低下を招いてしまいます。結果、組織としての生産性も損なわれ、やがて、企業経営にも影響を来たします。
つまり、テレワークにおけるメンタルヘルス不調の予防には、日常業務の中で常に社内の信頼関係を確保できるような、コミュニケーション不足が発生しづらい仕組みを構築することが大切になります。