精神障害の労災認定基準改正 類型にパワハラを追加
'2020.07.20
精神障害の労災認定には、次の要件が必要であるとされています。
①対象疾病を発病
②対象疾病の発病前おおむね6か月の間に業務による強い心理的負荷が認められること
③業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと
このうち、②の心理的負荷の強度の判断は、業務による「心理的負荷評価表」を指標として、出来事類型ごとに強・中・弱の3段階で評価し、総合的に「強」と判断される場合に認定基準を満たすことになります。
これまで、パワハラを受けた場合の心理的負荷の強度等の評価は、対人関係の類型の一つである「ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」という「具体的出来事」にあてはめて行われてきました。
※パワハラの定義
①優越的な関係を背景とした言動であって、
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
③就業環境を害されるもの
そして、6月からのパワハラ法制化により、企業にパワハラ防止措置義務が課せられていますが、今回、そのパワハラが業務による心理的負荷評価表にある「出来事類型」に新たに追加され、その具体的出来事として「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」が設けられることになりました。
つまり、この評価表にパワハラの項目が追加され明文化されることで、パワハラによる労災認定基準が明確になり、パワハラによる精神障害の評価が行いやすくなりますので、パワハラ被害者にとって負担の軽減が見込まれます。
中小企業でも2022年4月からの義務化が予定されていますが、社内で従業員が業務上により精神疾患になることは、会社としても大きな負担となってしまいますので、そういった事態を防ぐ上でも早めの対応が求められます。