障害者雇用の拡充に向けて(中小事業主の認定制度の創設)

昨年に障害者雇用促進法が改正されて1年が経ちましたが、まだまだ効果が浸透したとは言えない状況が続いています。そのうち、今年の4月に施行された中小事業主の認定制度について、ポイントを掻い摘んでご紹介したいと思います。


これまでの法改正により、納付金制度の対象事業主が段階的に拡大され、現在は常用労働者数100人超の事業主に納付義務がありますが、この対象拡大により、中小事業主における障害者雇用は少しずつ発展はみられるものの、100人以下の事業主については状況が停滞していますし、障害者を全く雇用していない中小事業主も多く存在することが、研究会報告書で問題として指摘されています。


そこで、今回の法改正では、中小事業主における障害者雇用の発展に対する社会的な関心を喚起し、障害者雇用に対する経営者の理解を促進するとともに、先進的な取組みを進めいている事業主が社会的なメリットを受けることができるようにと創設されたのが、「中小事業主の認定制度」(法77条以下)です。


これは、一定の認定基準※に基づいて、障害者雇用に関して優良な中小事業主(常用労働者数300人以下)に対して、社会的なメリットが受けられるようにするもので、評価方法としては、この認定基準の項目に対する達成具合により異なる評価点を加点する方式で、50点満点中20点以上得ることや、法定雇用率を達成していること等が認定要件とされます。ちなみに特例子会社は、獲得すべき合計得点が35点以上とされ、認定要件が高く設定されています。


※認定基準項目

①取組み(アウトプット)

・体制づくり

組織面、人材面

・仕事づくり

事業創出、職務選定・創出、障害者就労施設等への発注

・環境づくり(障害特性への配慮)

職務環境、募集・採用、働き方、キャリア形成、その他雇用管理

②成果(アウトカム)

・数的側面

雇用状況、定着状況

・質的側面

満足度、ワークエンゲージメント、キャリア形成

③情報開示(ディスクロージャー)

・上記取組み(アウトプット)の状況

・上記成果(アウトカム)の状況


この認定を受けた事業主にどのようなメリットがあるかといいますと、まず、認定を受けたら「障害者雇用優良中小事業主認定マーク」(愛称「もにす」)の使用を認められます。そして、このマークは、自社の商品、広告等への使用や求人票へも表示することができ、このほか、ダイバーシティ・働き方改革等の広報効果、地方公共団体の公共調達等における加点の促進等が挙げられます。

障害者雇用の促進に興味がある、又は既に取り組んでおられる中小事業主で、まだ認定を受けられていないようでしたら、ぜひ検討されてみてはいかがでしょうか。