年金は本当に安心なのか?『老後2000万円不足問題』

今回の金融庁の報告書によれば、高齢夫婦世帯では、月平均の収入が209,198円、支出が263,718円とされ、結果、不足額が54,520円、これを老後30年にすると2000万円にもなるということです。

これを受けて、金融業界では問合せが増加するなど、思いがけない追い風が吹いているという話し相手もありますが、しかし、実際には、生活に必要な支出は別としても、毎月の収支がマイナスなら、常識的に節約するなどして貯蓄を減らさないようにするのではないでしょうか。

一方で、政府が言う『年金100年安心』という言葉は、年金財政の収支を概ね100年にわたり均衡させる(2004年に、収入である厚生年金保険料について、現役が負担する保険料率を段階的に18.3%まで上げて固定する一方で、支出である年金給付については、マクロ経済スライドの導入により、少子高齢化の伸展に合わせて給付を抑制する仕組みを導入)ことを表したもので、この言葉が『100歳まで年金で暮らせる』ことを約束したかのような誤解を生じさせているようです。

しかし、実際には、保険料負担は固定された一方で、マクロ経済スライドの発動は、デフレ下により、過去2回しか行われておらず、仕組みがうまく機能しているとは言い難い状況となっています。

その原因としては、この仕組みはデフレ脱却が前提で、その方策の一つである最低賃金を1000円以上に上げることは、人件費の増加が困難である中小企業にとって決して容易に受け入れられるものではなく、そのためには、付加価値の上昇と運転資金の確保が必要となってくることから、これらの担保策なくしては、実施は容易ではありません。

単に、金融庁が言いたいことは、目減りしていく公的年金だけでは満足な生活水準には届かない可能性がありますよということなんだと思います。

少子高齢化により、支給される年金額の低下も事実ですし、今後も医療や年金等の各種保険料の増加の傾向も続くでしょう。

このように目減りしていく年金ですが、支払った保険料分はしっかり支給されるのかということは、まだ先のことだからと先延ばしにせず、『ねんきんネット』等で今一度確認しておいた方がよいと思います。

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