“消えた年金問題”NHK「あさイチ」で
'2019.07.31
昨日(7/29)のNHKの朝の情報番組「あさイチ」で、“消えた年金問題”をテーマとして放送されていました。これは、12年前に発覚した「消えた年金問題」のその後についてがテーマで、10年以上たった今でも1862万件が未解決のままとなっているということです。
番組では、持ち主不明年金バスツアーと称して、年金を取り戻した方を訪ね、年金記録が訂正されたポイントや解決のヒント等が放送されていました。
~制度や背景~
・元々、紙の台帳で管理していた年金記録は、その後コンピューターで管理するようになったがその際、判読が難しい情報などが正しく入力されず、年金記録が抜け落ちる事態が起こったため、持ち主不明年金が大量に発生した。
・「国民年金」「厚生年金」それぞれ別の番号で管理されていたが、平成9年からそれらの番号は基礎年金番号として一人一つの番号で管理されるようになった。
・持ち主不明年金のリスクが高い人は、「転職が多かった人」「結婚・離婚などで名字が変わった人」「平成9年より前に年金を払った人」、特に男性で「名字が変わった人はリスクが高い。
・持ち主不明年金は通常の年金とはルールが違い、本人が亡くなっても家族がもらえることも。(一緒に生活・仕送りなどの要件を満たせば、子や孫が亡くなった家族の年金をもらえる。)
<バスツアー>第1章 年金を探し出した母と娘の物語
『亡き父の記録が見つかり、無年金だった母に年金が支給された』
・30年以上前に亡くなった父の記録を長年探してきた母はずっと無年金。娘の援助で生活してきた。母が遺族年金を受け取るためには、父が最低でも300か月の年金納めていなくてはならない。(記録上は292か月)
・父は、記録では20代なかば以降のみの期間だったが、母には、20代前半も仕事をして年金を支払っていた記憶があるため、年金事務所に相談するも、「無いものは無い」と取りあってもらえない。
・すると、母は「繊維関係の労働組合に入っていた」と思い出し、調査したところ、18か月分の記録が見つかったため、加入月数が310月となり、その結果、父の厚生年金に加え、母が受け取るはずだった遺族年金20年分で2000万円が支給されることになった。
※本来、年金の時効は5年ですが、新たに記録が見つかって記録が訂正された場合には、時効が撤廃され、遡って年金が全額支払われます。
【持ち主不明年金】見つけるまで・・・
①まず、自宅で「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で年金に漏れがないか確認。
日本年金機構から誕生月に届く「ねんきん定期便」の中で『空いている期間があります。』という記述があったら確認が必要。「ねんきん定期便」を無くした方やもっと詳しく知りたい方は「ねんきんネット」(「ねんきんネット」は年金に加入している方なら登録すれば使えます。)で加入記録が見られます。
加入していたはずの月が「未加」という表示になっていないか確認したり、また、家族の場合は、持ち主不明記録検索で氏名、生年月日、性別を入力すると、該当する人が持ち主不明記録の中にいるかどうかがわかりますが、これがすべてではありません。
さらに、年金事務所では、「氏名検索」という機能があり、名前でそれらしい職歴があるかどうか探してくれます。さらに本人が希望すれば、生年月日を少しずらしたり、サチコさんやユキコさんなど読み方が違うこともあるので、名前の読み方を少し変えたりという調べ方もできます。
②次に年金事務所に年金記録の確認に行く。
年金事務所では、それらしい記録があることは調べてくれますが、なりすまし防止のためか、ヒントや、会社の頭文字とかどこどこの近くとかまでで、会社名までは教えてくれません。同姓同名、同一生年月日の方も複数人いることもあるため、特に、遺族年金を請求するときは、本人が亡くなっているので、確認が取れず認められないケースもあります。
<バスツアー>第2省 年金を見つけるためのコツ
①『30年以上前の父の年金を取り戻すことができた』
・転職を繰り返していた関係で年金手帳を5冊くらい持っていた。
(基礎年金番号ができる平成9年以前、転職すると違う番号の年金手帳を受け取ることもできた。)
・実際に年金事務所に手帳を持参すると、5~6社分の記録が抜けていた。
(父はバイトだと思っていたが、実は年金を支払っていた)
見つけるコツ①:複数の年金手帳があったら記録のモレがあるかも
②『母親との会話がきっかけで父親の年金記録のモレに気づいた
・母親の記憶を頼りに年金事務所に行き、会社名などを伝えると5年分の年金を取り戻せた。「いしい」の名前が「あかいけ」で登録されていた。名前が違うだけで、所在地や生年月日は合っていた。
見つけるコツ②:ねんきん定期便で登録された情報に間違いが無いか確認
見つけるコツ③:名字が変わった人は旧姓の記録も確認
~記録調査にあたって~
①年金事務所で必要なる情報は、国民年金の場合は、登録時の氏名・住所・生年月日の3つの情報。厚生年金の場合は、この3つにプラス、会社名、会社の所在地、働いていた期間が必要になります。
②年金事務所での手続きは、会社の名前を正しく確認。子会社や関連会社に在籍していた場合、年金記録は、その社名で登録されていることも。
③自分の手に負えないときは、多少費用は掛りますが、特に年金記録訂正に詳しい社会保険労務士に相談することで解決に繋がることも。
<バスツアー>第3章 年金探偵のアドバイス
年金探偵のアドバイス①:住民票の住所以外で登録された可能性も
・国民年金は「住所」が見つけるキーワード。本籍地でも探してみる。
年金探偵のアドバイス②:別の漢字や当時の呼び名(可能性がある名前を確認)
・旧字でも確認する。
年金探偵のアドバイス③:親戚や知人に質問する際に有効な聞き方
・「どんな仕事についていたか?」いくつかのヒントが想定できる。
【記録を探すときに役立つもの】
国民年金の場合:戸籍の付表(転入転出をしたとき全て記載されるため)
厚生年金の場合:社員旅行などの写真、給与明細、社員証や社員バッジ
(働いていたことがわかるもの。当時の同僚や社長の名前も調べるヒントになる。)
※国民年金と違って厚生年金は、元々住所登録をしていませんでした。住所登録を始めた平成8年までは、カタカナで名前を登録していたため、同姓同名、同一生年月日の方がいる可能性は高い。そのため、会社名を聴くなどの本人確認が行われる。
【まとめ】
・本来は国が正確に管理すべきだが、本人が動かないと見つからない。
・過去に日本年金機構から可能性がある人へ通知を出すも、返答のないこともあるほか、多少登録が間違っていることもあるため、基本的には、本人が調べないと、年金機構任せだけでは、記録確認は困難。
★粘り強く探せた方からのメッセージ
①母も年金事務所窓口で期間が不足でもらえないと言われた。しかし窓口の後ろから出てきた職員が丁寧に働いていたところを聞いてくれて、調べてもらった結果、年金が支給されることになった。
※年金機構で懇切丁寧に調べてほしいが、職員によって異なることも多々ある。
※今日の放送を見て、もう一度お近くの年金事務所に行って確認し、埒があかなかったら、他の年金事務所で聞くことも有用。
②父は大手企業に勤めていたが、80年代に年金記録を紙からデータに移し替える際に報酬を写し間違っていたことがわかり、1,600万円を受け取ることができた。記録の報酬が少なければ確認した方がよい。
※未解決の1800万件については、大体が旧姓で残っている記録や1~2か月の短い記録がほとんどと推測されるが、記録訂正により、受給資格が得られる場合もあるため、自身の記憶を再度確認。
今回の放送のように、年金記録が訂正されている方は、たくさんいらっしゃいます。もし、ご本人若しくはご家族で、あれっ?と思うことがあり、少しでも情報がある場合には、お近くの年金事務所に問い合わせてみられてはいかがでしょうか。
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