パワハラ防止法成立 施行は来年4月から
'2019.05.30
職場のパワーハラスメントの防止を企業に義務づける改正労働施策総合推進法が29日、参院本会議で可決、成立しました。初めてパワハラを定義し、上下関係を背景としたパワハラは許されないと明記する一方、罰則規定については、その線引きが困難であるとして見送られました。厚生労働省では、パワハラの典型例として6類型が示されていますが、具体的にどのような行為がパワハラに当たるかについては、来年4月の施行までに指針を策定し、中小企業については平成22年4月からの見通しです。今後は、取引先からのパワハラや顧客からの迷惑行為に関する指針、フリーランスや就職活動中の学生向けの対策についても検討されるようです。
1)身体的な攻撃(たたく、殴る、蹴るなどの暴行・傷害)
2)精神的な攻撃(同僚の前やメール等での執拗な暴言・叱責・名誉棄損・侮辱)
3)人間関係からの切り離し(一人だけ隔離・仲間外し・無視)
4)過大な要求(業務上明らかに不要・遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
5)過小な要求(業務上合理性のない、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
※このなかでも最も多いのが、いわゆる暴言などの事例「精神的な攻撃」です。
このたびの法改正は、パワハラを「優越的な関係を背景に、業務上必要な範囲を超えた言動で労働者の就業環境を害する」と初めて定義されています。ほかに相談体制の整備や、加害者に対する不利益な取扱いの禁止についても企業に義務づけられています。
ただ、罰則規定は見送られており、既に義務化されているセクハラ対策が機能しているとは言い難い面もあることから、実行性には疑問が残りますが、そもそも、安定した強い経営基盤を作っていくためには、ハラスメントが発生しない風通しのよい職場環境にしていくことが重要です。そのためには、その「仕組み作り」が必要であるとともに、このたび法制化された意義を、企業としてもさることながら、一人ひとりが意識をもって取り組むことが大切です。→ メンタルヘルスシステム「コンケア」
→参照)パワハラ防止ついに法制化
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