「そんなつもりじゃ・・・」仕組みでパワハラから組織を守る

組織において「仕事ができる人」というのは、得てしてパワハラ加害者になり得る素質を持っていることがあります。そういう人は、仕事の業績は抜群で、会社からは高い評価を得ています。しかし、そこには、その能力の高さもさることながら、目標達成に対する高い意識や自らへの厳しさゆえというのがあります。

こういった高い意識を持っている人は、それゆえに周りにも自身と同じように求めてしまうこともしばしば見受けられます。例えば「こんな簡単なことがなぜできないんだ?こんなことも知らないで恥ずかしくないのか」と、相手の能力や背景を理解しようとせずに、自らの気持ちをぶつけてしまいます。しかし、当の本人にはパワハラをしている認識は無いのです。

もちろん、パワハラ行為は絶対に許されるものではありません。ただし、このようなパワハラ行為を個人の性質だけの問題としてよいのでしょうか?大切なことは、なぜ加害者をこのような行為に走らせたのか?その原因や背景を、組織が把握することなのです。

多くの企業では、パワハラの予防・解決の取組みとして、相談窓口の設置や研修の実施等が行われている一方で、再発防止への取組みは2割未満にとどまっているのが現状です。

パワハラが発生した時の会社の対応を見ていますと、パワハラ加害者が出た組織は、全ての責任を加害者だけに負わせ、切り離しや懲罰的な意味合いで、異動等により加害者を組織から排除することだけを行っているところが散見されます。

会社にとって高業績を挙げる社員はとても重要です。しかし、このような形で優秀な人材を失うことは、会社としても大きな損失です。

会社として、パワハラが発生する原因や背景にどのようなものがあったか。例えば、長時間労働や仕事上のストレス、人間関係、管理能力、部下の意識、はたまたプライベートの問題、と様々の事情が考えられます。これらには、制度上の問題が無かったか、労務管理上での対応が可能ではなかったか等、組織として対応できることを検証し、「パワハラ加害者を組織から排除するのではなく、パワハラが起こらない環境づくりに取り組む。」こうすることによって、パワハラ被害者をも減らし、結果、高業績を生む組織にもなることができます。

そして、パワハラ防止法が成立し、来年4月には施行されます。パワハラから組織を守るには、被害者と加害者の心理を踏まえたハラスメントの予防研修を実施すると同時に、発生した場合に備えて、当事者のフォローと再発防止プログラムを策定し、当事者間の問題だけとはせず、制度の見直しなど組織として環境の整備に取り組むことが重要です。

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